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【オンライン公開講義】“立ち止まって、考える” – 連続講義(2)環境史

2020/06/30

連続講義(2)環境史 – 「災害」の環境史:科学技術社会とコロナ禍

一般に「災害」とは、人間が突然の自然の来襲によってこうむる損害と考えられている。だが果たしてそうだろうか。この講義では、「環境史」の視点から「災害」について考えなおしてみたい。これまでの歴史が人間からの視点を自明の前提としてきたのに対し、自然と人間の関係を問い直すのが環境史である。そこからは、現代の「災害」がかつてのように未知なる自然の来襲ではなく、高度につくりあげられた科学技術社会の日常に組み込まれているという現実が見えてくる。そのことに私が気づかされたのは3.11のときだった。この講義ではさまざまな「災害」の環境史を取り上げ、現在のコロナ禍を考えるための視点を定めたい。

講師プロフィール

瀬戸口明久 人文科学研究所准教授


1975年宮崎県生まれ。1997年京都大学理学部卒業、2007年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は科学史。大阪市立大学経済学研究科准教授を経て、2013年から京都大学人文科学研究所准教授。著書に『害虫の誕生』(ちくま新書、2009年)、共著に『日本の動物観』(東京大学出版会、2013年)など。

講義内容

第1回「コロナ禍」とは何か:病気の環境史

2020年7月4日(土)11:00~12:00

参考文献

第2回 想定されていた想定外:3.11の環境史

2020年7月11日(土)11:00~12:00

参考文献
  • 寿楽浩太・菅原慎悦『原子力と地域社会に関する社会科学研究支援事業平成28年度研究成果報告書「SPEEDI」とは何か、それは原子力防災にどのように活かせるのか?』(2017年)
  • 瀬戸口明久「境界と監視のテクノロジー――自然と人工のあいだ」『情況』別冊思想理論編第3号(2013): 43-57.
  • 中川保雄『放射線被曝の歴史』(技術と人間、1991年)

第3回「沈黙の春」から「春の沈黙」へ:害虫の環境史

2020年7月18日(土)11:00~12:00

参考文献
  • レイチェル・カーソン(青樹簗一訳)『沈黙の春』(新潮文庫、1974年)
  • 後藤哲雄・上遠野冨士夫編著『応用昆虫学の基礎』(農文協、2019年)
  • 小山重郎『害虫はなぜ生まれたのか』(東海大学出版会、2000年)
  • 瀬戸口明久『害虫の誕生虫からみた日本史』(ちくま新書、2009年)
  • 武井弘一『江戸日本の転換点水田の激増は何をもたらしたか』(NHK出版、2015年)

第4回 日常に埋め込まれた「災害」:交通事故の環境史

2020年7月25日(土)11:00~12:00

参考文献
  • 梅棹忠夫「名神高速道路」(1960)『日本探検』(講談社学術文庫、2014年)所収
  • 齊藤俊彦『くるまたちの社会史』(中公新書、1997年)
  • 三浦豊彦『大気汚染からみた環境破壊の歴史』(労働科学研究所、1975年)
  • Martin V. Melosi, Automobile in American Life and Society, (http://www.autolife.umd.umich.edu/, 2004-2010)

第5回 科学技術社会における「災害」

2020年8月1日(土)11:00~12:00

参考文献
  • ロザリンド・ウィリアムズ『地下世界』(平凡社、1992年)
  • 瀬戸口明久「電信と電波で一つになる世界」藤原辰史編『第一次世界大戦を考える』(共和国、2016年)
  • 瀬戸口明久「災害はいつから始まったか」『京都新聞』2019年9月13日付•寺田寅彦「天災と国防」(1934年)(青空文庫、https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2509_9319.html
  • ルイス・マンフォード『技術と文明』(美術出版社、1972年)
  • The Heart Island Project (https://www.hartisland.net/)

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