リレー講義(1) コロナ後の社会の展望―分散型システムへの移行と「生命」の時代 #公共政策
コロナ後の社会について、最近「ニューノーマル」という表現が使われることがある。では、これまでが果たして「ノーマル」だったのかと言うと、たとえば東京の朝の通勤ラッシュを思い浮かべると、それはどう見ても「アブノーマル」と言わざるをえない姿だろう。こうした点を含め、ある意味で日本社会全体が過度な“3密”だったと言えるのではないか。今後求められるのは、東京と地方の関係、さらには働く場所や生活全体のデザインを含む包括的な意味での「分散型」システムへの移行であり、この点は、私たちの研究グループが3年前に公表した、AIを活用した日本社会の未来シミュレーションの内容と奇しくも重なっている。ポスト情報化と「生命」の時代といった認識を含め、コロナ後の社会の展望を幅広い視点から考えてみたい。
日時:2020年8月2日(日) 14:00-15:00
講義動画はアーカイブされますので上記URLから後日でもご覧いただけます。
参考文献
- 伊東俊太郎(2013)『変容の時代――科学・自然・倫理・公共』、麗澤大学出版会。
- ウィルキンソン(2009)『格差社会の衝撃ー不健康な格差社会を健康にする法』、書籍工房早山。
- 宇都宮浄人(2015)『地域再生の戦略――「交通まちづくり」というアプローチ』、ちくま新書。
- 近藤克則(2005)『健康格差社会』、医学書院。
- 高松平蔵(2008)『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』、学芸出版社。
- ロバート・パットナム(2006)『孤独なボウリングー米国コミュニティの崩壊と再生』、柏書房。
講師プロフィール
広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授
1961年岡山市生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院修士課程修了後、厚生省勤務、千葉大学教授を経て2016年より現職。この間、2001-02年マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。専攻は公共政策及び科学哲学。『日本の社会保障』(岩波新書)でエコノミスト賞、『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)で大仏次郎論壇賞受賞。近著に『ポスト資本主義』(岩波新書)、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社)。
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