リレー講義(3) 新型コロナと現代文明 #現代社会論
今回の新型コロナウイルスのパンデミックは、現代文明のあり方に疑問を投げかけた。今日の文明は、経済のグローバル化、民主的な政治体制、デジタル情報社会化、生活の都市化、といった特徴をもっているが、それらがいかに脆弱になっていたかを露呈することとなった。グローバルな経済はせき止められ、民主的な政治は意思決定の混乱を露呈し、情報の混乱はかえって社会に動揺を与え、密集型の都市生活は機能停止に陥った。「より自由に、より豊かに、より平等に、よりモノを知り、より広くつながる」というのが現代社会の価値観だとすれば、このパンデミックはこれらの価値観に大きな打撃を与えた。われわれは、価値観の大きな転換を求められることとなろう。
日時:2020年8月9日(日)14:00-15:00
講義動画はアーカイブされますので上記URLから後日でもご覧いただけます。
参考文献
- ハイデガー『形而上学入門』1953年(邦訳、平凡社ライブラリー)
- ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』1938年(邦訳、中公文庫)
- レオ・シュトラウス「現代の危機」(1963年、デトロイト大学における講演)
- カッシーラー『人間:シンボルをあやつる者」1944年(邦訳、岩波文庫)
- シューマッハー『スモール・イズ・ビューティフル』1973年(邦訳、講談社学術文庫)
講師プロフィール
佐伯啓思 京都大学名誉教授・こころの未来研究センター特任教授
1979年、東京大学経済学博士課程退学後、滋賀大学等をへて1993年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授、2016年に退官後、京都大学名誉教授およびこころの未来研究センター特任教授。専攻は、政治、経済を中心とする現代社会論、社会思想。
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