連続講義(4)地域研究・メディア学 – メディアとコミュニティ―東南アジアから考える
社会的距離を意識した生活が続く一方で、互いに面識がなく実際に会うこともまずないであろう人どうしがオンラインでコミュニケーションをとる機会が増えている。情報技術の発達によって言葉の壁もある程度乗り越えられつつあり、そうであるからこそ情報をどう解釈するかがますます大切になる。多民族・多言語・多宗教の人びとが暮らす東南アジアでは、考え方や生活習慣が互いに異なる隣人どうしが社会を作る工夫と努力を重ねてきた。この講義では、自然災害、独立・建国、大量移住などによって社会の秩序が大きく変わったときに、東南アジアの人びとがどのように問題を解決して社会のまとまりを育ててきたのかを紹介することを通じて、地域や時代の特性を踏まえて情報を読み解くことの意義について考えてみたい。
講師プロフィール
山本博之 東南アジア地域研究研究所准教授
1966年生まれ。専門は東南アジア地域研究/メディア研究。研究テーマはナショナリズムと混血者・越境者、災害対応と社会、混成アジア映画。著書に『脱植民地化とナショナリズム』(東京大学出版会)、『復興の文化空間学』(京都大学学術出版会)、編著書『マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界』(英明企画編集)などがある。
講義内容
第1回 イントロダクション:文化空間の被災と復興
2020年7月5日(日)14:00~15:00
参考文献
- 災害対応の地域研究(全5巻、京都大学学術出版会)
- 山本博之『復興の文化空間学』
- 西芳実『災害復興で内戦を乗り越える』
- 牧紀男ほか『国際協力と防災』
- 川喜田敦子ほか『歴史としてのレジリエンス』
- 清水展ほか『新しい人間、新しい社会』
第2回 戦わないナショナリズム
2020年7月12日(日)14:00~15:00
参考文献
- 『定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』(ベネディクト・アンダーソン、白石隆・白石さや訳、書籍工房早山、2007年)
- 『比較の亡霊―ナショナリズム・東南アジア・世界』(ベネディクト・アンダーソン、糟谷啓介・高地薫ほか訳、作品社、2005年)
- ブル島四部作:『人間の大地』『すべての民族の子』『足跡』『ガラスの家』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール、押川典昭訳、めこん、1983-2007年)
- 『ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる』(ホセ・リサール、岩崎玄訳、井村文化事業社/勁草書房、1976年)
- 『脱植民地化とナショナリズム―英領北ボルネオにおける民族形成』(山本博之、東京大学出版会、2006年)
第3回 混血と越境が育てるコミュニティ
2020年7月19日(日)14:00~15:00
参考文献
- 『プラナカンの誕生―海峡植民地ペナンの華人と政治参加』(篠崎香織、九州大学出版会、2017年)
- 『イスラーム世界のことばと文化』(佐藤次高・岡田恵美子編著、成文堂、2008年)
- The Origins of Malay Nationalism. (William Roff, Yale University Press, 1967.)
- Islamic Nationhood and Colonial Indonesia: The UmmaBelow the Winds. (Michael Francis Laffan, Routledge, 2002.)
- 『雑誌から見る社会』(山本博之、京都大学学術出版会、2016年)
第4回 映像メディアとコロナ後の世界
2020年7月26日(日)14:00~15:00
参考文献
- 『地域研究』第13巻第2号(総特集混成アジア映画の海―時代と世界を映す鏡)地域研究コンソーシアム、2013年。
- Film in Contemporary Southeast Asia: Cultural Interpretation and Social Intervention. (David Lim & Yamamoto Hiroyuki (eds.), Routledge, 2011)
- 『映画から世界を読む』(山本博之、京都大学学術出版会、2015年)
- 『マレーシア映画の母ヤスミン・アフマドの世界人とその作品、継承者たち』(山本博之編著、英明企画編集、2019年)
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