仏教学・チベット学・ブータン学 – 仏教哲学にもとづく「こころ」の概念と「良きこころ」のありかた
配信日時・URL (ライブ配信終了後もアーカイブでご覧いただけます)
- 2021年9月19日(日)14:00~15:00 https://youtu.be/byGtloT1Oyg
講義概要
科学技術が発展し、人類は物質的な豊かさを享受できるようになったが、その一方で、こころの問題が置き去りにされている。新型コロナウィルスは、罹患者の身体のみならず、経済、社会、そして人々のこころをも蝕んでしまう恐ろしさを持っていることが分かった。こころの問題なくして人類の幸福はないであろう。本講義では、仏教という「こころ」を重視する伝統知に着目する。仏教は「東洋の心理学」とも呼ばれるように、こころの分析を通じた善き生き方を提示してきた。仏教的観点から「こころ」はどのように捉えられるのか。また新型コロナウィルスなど、様々な危機とどう対峙していけばよいのか。本講義では、仏教的視点からこころの問題を再検討する。
※ この講義はこころの未来研究センターによるリレー講義「こころの未来を考える」の第5回です。
リレー講義「こころの未来を考える」概要
「こころ」とは何であろうか。洋の東西を問わず数多の哲学者や科学者たちがその解明を試みてきたが、「こころ」は誰もが持っている身近なものでありながら、それを明確に定義することは容易でない。また、近代化や国際化、自然災害や疫病などを通じて環境が劇的に変わっていく中、「こころ」はどうあるべきなのだろうか。本講義では、「こころ」という概念を、認知科学、臨床心理学、文化心理学、美学・芸術学、仏教学など、様々なディシプリンから学際的に考察するとともに、未来社会における「こころ」のあり方について考えていきたい。
講師プロフィール
熊谷誠慈 こころの未来研究センター・准教授
1980年広島市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。京都大学白眉センター特定助教、京都大学こころの未来研究センター特定准教授を経て、現職。2018年、ウィーン大学ヌマタ教授兼任。専門は仏教哲学(インド・チベット・ブータン)およびボン教研究。主要著書にThe Two Truths in Bon (Kathmandu: Vajra Publications, 2011)、Bhutanese Buddhism and Its Culture (編著, Kathmandu: Vajra Publications, 2014)、『ブータン:国民の幸せをめざす王国』(創元社、2017年)など。